井戸水を多く使っている地域はどこ?~日本の地下水事情を調べてみた~
「井戸水」と聞くと、昔の家や田舎の風景を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
しかし、井戸水は決して「昔のもの」ではありません。
日本では現在でも、地域によって地下水が生活用水や工業用水などに利用されています。
実は、地下水の利用量は全国どこでも同じというわけではありません。
では、いったいどんな地域で地下水が多く使われているのでしょうか?
今回は、日本の地下水事情について調べてみました。
そもそも「井戸水」ってどんな水?
井戸水とは、地下にある「地下水」を井戸からくみ上げた水のことです。
雨や雪として降った水の一部は、地表を流れて川や海へ向かいます。
一方で、一部は土の中へと浸透し、地層のすき間などに蓄えられていきます。
これが地下水です。
イメージすると、

という流れです。
地下水は、長い時間をかけて地中を移動するため、その地域の地形や地質、降水量などによって水質や水量が変わります。
つまり、同じ「井戸水」でも、場所が変われば中身も変わる可能性があるのです。
日本では、どの地域で地下水が多く使われている?
国土交通省の資料には、「地域別用途別地下水依存率」というデータがあります。
これは、生活用水や工業用水などに使われる「都市用水」のうち、どの程度を地下水に依存しているかを示したものです。
最新の資料を見ると、全国の地下水依存率は約23%。
一方で、地域によっては全国平均を大きく上回っています。
特に地下水への依存率が高い地域として、
- 北陸:約47.8%
- 南九州:約41.7%
- 関東内陸:約40.0%
- 中国山陰:約37.5%
- 四国:約28.8%
などが挙げられます。
※ここでいう「地下水依存率」は、「井戸水を使っている家庭の割合」そのものではありません。
生活用水や工業用水などを含め、地域で利用される水のうち地下水がどの程度を占めているかを示した数字です。
こうして見ると、「地下水を多く使う地域」と「そうではない地域」があることがわかります。

なぜ地域によって地下水の利用量が違うの?
では、なぜ特定の地域では地下水が多く利用されているのでしょうか?
その理由のひとつが、地形や地質です。
地下水はどこにでも同じように蓄えられているわけではありません。
例えば、山から流れてきた水が地下へ浸透しやすい場所や、水を蓄えやすい地層が広がっている地域では、地下水が豊富になることがあります。
また、雨や雪の量も関係します。
降った水が地中へ浸透し、地下水として蓄えられるため、降水量や雪の多さも地下水環境に影響します。
さらに、地域によっては昔から井戸水を生活や産業に利用してきた歴史があります。
つまり、
「地下水が利用しやすい自然環境」+「昔からの利用」
など、さまざまな条件が重なって、地域ごとの地下水利用の違いが生まれているのです。
「地下水が豊富=そのまま安心」ではない?
ここで、井戸水を利用している方に知っておいてほしいポイントがあります。
それは、「地下水が豊富なこと」と「井戸水の水質が良いこと」は、別の話だということです。
地下水は、地中を通る間に周囲の土壌や地層の影響を受けます。
そのため、同じ地域であっても、井戸の深さや場所、周囲の環境などによって水質が異なる場合があります。
環境省でも、全国の地下水について継続的に水質調査を行っています。
令和6年度の概況調査では、2,721地点で地下水質が調査され、環境基準の達成率は94.4%でした。
一方で、基準を超える地点もあり、特に「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」は環境基準の超過率が最も高い項目となっています。
地下水の水質には、自然由来のものだけでなく、周辺の土地利用や農業、生活排水、工場など、人間の活動が影響する場合もあります。
だからこそ、
「井戸水だから大丈夫」
と一括りにするのではなく、
「自分の家の井戸水は、どんな水なのか?」
を知ることが大切です。
同じ「井戸水」でも、水質は違う
例えば、「近所の家では井戸水をそのまま使っているから大丈夫」と思うこともあるかもしれません。
しかし、井戸水は井戸ごとに条件が異なります。
井戸の深さや場所、地下の地層、周辺環境などによって、水に含まれる成分が変わることがあります。
そのため、「隣の家の井戸水」と「自分の家の井戸水」が同じとは限りません。
これは、井戸水を使ううえで意外と見落としやすいポイントです。
井戸水を快適に使うために大切なこと
では、井戸水を生活に利用する場合、何をすればよいのでしょうか?
まず大切なのは・・・
① 自分の井戸水を知る
水の色や濁り、においなど、普段から気になる変化がないか確認します。
必要に応じて水質検査を行うことで、目では分からない水質についても確認できます。
② 気になる成分を把握する
井戸水の悩みは、
「濁りが気になる」
「鉄のようなにおいがする」
「水の色が気になる」
など、家庭によってさまざまです。
どんな成分が問題になっているのかによって、必要な処理方法も変わります。
③ 水質に合ったろ過方法を選ぶ
「とりあえずフィルターを付ければいい」というわけではありません。
井戸水に含まれる成分や使用目的に合わせて、適切なろ過方法を選ぶことが重要です。
井戸水は「地域」だけでなく「井戸」を見ることが大切
今回調べてみると、日本では地域によって地下水の利用量に大きな違いがあることが分かりました。
北陸や南九州、関東内陸、中国山陰など、地下水への依存度が比較的高い地域もあります。
しかし、ここで大切なのは、
「地下水が多い地域だから安心」ではなく、「自分の井戸水はどうなのか」を見ること。
地下水は、地形や地質、周辺環境などの影響を受けるため、井戸ごとに水質が異なる場合があります。
井戸水を生活に利用しているなら、まずは自分の井戸水を知ること。
そして、その水質に合った方法で、必要なろ過や処理を考えること。
それが、井戸水をより快適に利用するための第一歩です。
「うちの井戸水は大丈夫かな?」
そう思ったときは、まず水質を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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